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渡辺明論  その1

「捌きのアーティスト」、「カミソリ流」、「空中戦法」、「玉損の攻め」など、棋士には古くから、棋風に合ったカッコいいキャッチフレーズが付く。特にタイトルホルダーともなれば、ほとんどの棋士にキャッチフレーズが付いている。ところがあれだけの活躍を見せる渡辺明竜王にはこれといったキャッチフレーズがないのが不思議なところ。キャッチフレーズが付かないくらい、手がその場その場に的確に対応したものであるということなのだろう。指し手にクセや偏りがないというのも、常勝の要因ということが言えると思う。

それでもファンとしては指し手にこれぞという特色が見えないのは寂しいところ。キャッチフレーズには「棋界のプリンス」や「地蔵流」など棋風ではなく人物そのものに対するものもあるので、あの歯切れのいい解説や著作から「奔放流」などもいいかと思うが、やはりあれほどの実績である以上、指し手や棋風に対するキャッチフレーズが欲しいなぁと思ってしまう。
ないなら付けちゃえということで、ぼく自身は個人的に渡辺竜王を、「棋界のスローハンド」と名付けている。スローハンドはギタリスト、エリック・クラプトンの有名なニックネーム。超絶技巧をいとも簡単にこなすので、ゆっくりした、なんということもないような手つきに見えてしまうところから来ている。あれだけ勝っている竜王の指し手には高速の寄せもマジックも、自然も泥沼も妖刀も含まれているはずなのに、それらが突出して見えないくらい普通に感じてしまう。そこがクラプトンのスローハンドになんとなく似ていると、ぼくは思うのだ。まるで150キロの剛速球をキャッチボールのような軽いフォームで投げちゃうような…。今後これはというキャッチフレーズが付けられるかもしれないが、ぼく自身のなかでは「棋界のスローハンド」なのだ。

今週は日本ダービー。渡辺竜王の予想を参考にさせてもらおうと思っている。

 

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2013年5月24日 | コメントは受け付けていません。 |

カテゴリー:ブログ

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