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(将棋の方の)雑記  将棋番組の涙

昨日は将棋番組に涙はないということを書いたが、唯一涙があるのが『こども将棋名人戦』だ。今年も涙があった。
 
準決勝の2局目。先手の猛攻に後手が受けていたのだが、その後手の一手に解説の森内名人が「あっ」とくぐもった唸り声。この少年たちのレベルであれば一目であろう単純な頓死筋が。なにしろヘボ将棋のぼくですら分かったほどだ。あっけない幕切れと思ったのもほんの数秒、先手の子はそれを見逃す。それでも先手の攻めは続き、後手は受け続ける。しかし徐々に先手の攻めが細くなっていき、結局後手が受けきって逆転勝ち。先手の少年、終局時は残念そうな表情で涙はなかったのだが、スタジオに戻って名人に解説されて「あぁっ」と天を仰いで大泣き。決勝戦に画面が変わるまで、その子はずっと泣いていた。
 
これ、もっと正確に書くと、名人が解説する前にその子は事態をつかんだ。その場面が大盤にあるという時点で何かあると感じていたのかもしれない。ここに出る子というのはそれくらい突出した才能だ。「ここで…」と名人が水を向けた時点で少年は無念の声を発したのだ。少年が顔を両手で覆っている隣で後手の子が、「指した瞬間気付いた」と名人の問いに消え入りそうな声で答えていた。
 
こども将棋名人戦の涙は、将棋というのは座っておとなしくやっているように見えて、実はスポーツとそん色ないくらい激しい競技だということを伝えてくれるのだ。
 

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2013年5月8日 | コメントは受け付けていません。 |

カテゴリー:ブログ

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