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一次選考のいちにち  その2

南新宿駅の改札横には、細い、人が2人並んで歩けないくらいの道があり、その入口に銭湯の案内がペタッと2枚貼ってあった。
なんだろうと思いながらその道に入っていく。上から電車の通過する音が響くが、高架下ではない。線路に沿ってひっそりと佇む路地で、壁に圧迫されているが頭上には陽が差している。
 
ともかく、人口密集地の路地は面白い。なにがどう面白いのかと問われると言葉に詰まってしまうが、くねくねと入り組んでその先どうなっているか見当つかないところ、といったところだろうか。歩くのではなく、彷徨うといった感じ。ぼんやり歩いていると同じところに戻ったり、家の庭や駐車場に突き当ってしまったりする。ぼくはうろうろ、そんな場所を翻弄されながら歩き回るのが好きだった。
 
路地は改札の裏の通りに出て、そこは車が一台通れる道。軽ならすれ違いも可能だろうか。その、ガードの反対側に銭湯はあった。「奥の湯」という、質素な店構えの銭湯。改札の奥にあるから奥の湯なのだろうか、それとも単に経営者が奥田さんか。土曜日が定休日というのが、なんとなく珍しい感じがする。この辺り、土曜が最も閑散としているのだろうか。たしかにこの周囲、隙間もないほど建物で埋まっているのに人通りはイマイチだ。
 
ぼくは線路から離れるように進んで行く。ランチの支度を始めるのだろうか、調理人が店の外で一服している。
すぐに大通りに出て、ぼくは今度、歩道を歩く。スーパーは早くも営業していて、惣菜もずらっと並んでいる。なだらかな坂道を上っていくと、代々木駅に出た。散策でけっこう時間を使ったことだし、一駅だけど乗っていこうかと思って改札を入った。そして総武線のホームに上がろうと階段を上っているところで構内放送が入り、新宿駅の人身事故でしばらく止まるとのこと。それなら歩く一手だと、改札でICカードの取り消しを行う。
 
このトラブルで他の幹事は遅れるかもしれないので、ぼくは急ぎ足で千駄ヶ谷方面へ歩き出した。
 

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2013年5月19日 | コメントは受け付けていません。 |

カテゴリー:ブログ

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