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ノスタルジー

ぼくが将棋ペンクラブの他にもう一つ入っている、『純パの会』というパ・リーグのマニアックなファンの会。先日その会報が送られてきた。

この会報はペンクラブと同じで投稿で成り立っているのだが、今回最も面白かったのは青梅スタジアム探訪の投稿だった。

東京の西の外れにあるちっぽけなこの球場は、以前、といっても20年ほど前だが、ロッテが練習用に使っていたグラウンドだ。青梅といっても実際には埼玉県との境にあり、青梅線のみならず八高線、西武線のいずれの駅からもとても歩いていけない陸の孤島にある。ぼくは以前に何度か車で行ったことがあるが、球場の周囲は一面お茶畑で、少し離れてガソリンスタンドがあるだけで他に商業施設は何もなかった。今はそのスタンドの近くにコンビニができたが、それでも変化はその程度で、状況は往時とほとんど変わっていない。

この球場はもちろん今も残っているが、かつてプロの選手が使っていたなど到底考えられない規模と設備。その当時のパ・リーグの冴えない状況が分かるというものだ。たとえ20年前だろうが、セ・リーグでは1軍がこんな球場を使うようなことはなかっただろう。

投稿者は現在のこの球場を訪れ、周辺を歩き、さまざまな角度から球場風景を写真におさめている。そしてロッテの状況と重ねながら、球場の歴史を現在に至るまで説明していく。取材は念入りで、選手寮があったロッテ狭山工場まで訪れて写真を撮っている。ぼくは大学時代、この工場の横にあるロッテリアにレタスを運んでいたのでよく知っているが、青梅スタジアムとはまったく離れた場所にあるのだ。稿料の出ない会報誌への投稿原稿でここまでするのは、たいした行動力と言える。

この投稿者の文章はぼく好みの淡々としたもので、その落ち着いた文章がよりノスタルジーを色濃くする。投稿者はその前の号でもファイターズの多摩川グラウンド跡地探訪記を書いていて、文章の組み立てそのものもうまいが、こういった風化されたものを書くのに適した文章ということもあるだろう。

今後もこの人の投稿記事を読みたいな。それも、こういった探訪物で。そんな気持ちにさせられる投稿だ。それにしても文章のうまい人というのはいろいろなところにいるものだと、あらためて思うのだった。

 

 

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2013年6月9日 | コメントは受け付けていません。 |

カテゴリー:ブログ

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